日本心理臨床学会第35回秋季大会 実行委員会企画シンポジウム3
2016年9月6日に行われました第35回秋季大会「実行委員会企画シンポジウム3」の記録データを掲載しております。
※「概要・出演者等」、「内容」は、プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。
記録データ
- 山﨑篤先生当日使用資料(PDF)
- 西村馨先生当日使用資料(PDF)
概要・出演者等
実行委員会企画シンポジウム3
『精神分析とシステム論の対話-個人、家族、地域の協働に向けて-』
9月6日(火)10:00~12:00 メインホール
司会者: | 内田 利広(京都教育大学) |
話題提供者: | 山﨑 篤(中村学園大学短期大学部) |
西出 隆紀(愛知淑徳大学) | |
西村 馨(国際基督教大学) | |
鴨澤 あかね(北星学園大学) | |
指定討論者: | 恒吉 徹三(山口大学) |
内容
21世紀に入り10数年が経った。我々の日本社会は今、子育てという営みをめぐる様々な問題に直面しているように見える。かつてない離婚率とシングルマザー、貧困の問題。教育費の高騰による教育格差。女性の社会進出に伴う待機児童等、喫緊の保育問題。そして悲しい虐待の問題。あげればきりがないが、これらの問題が我々の心理臨床にも大きく影響を及ぼしている。我々臨床家は、それぞれの臨床領域でこの子育てという営みについて、具体的に見たり聞いたりしている。そして必要な場合には、個々の営みに対して具体的に携わっている。
見たり、聞いたり、考えたりする内容は、精神分析とシステム論では違うのかもしれない。AとA’。ピアジェを引くまでもなく、同じ現象も、見る角度が違えば違った風に見えることが多い。子育てという営み然り。AかA’なのかと議論をすることも大事だが、私たちはなぜそのように見えるのかというところから、対話を始めている。違いにこだわり、不寛容に留まっていては、対話は生まれない。対話からコラボレーション(協働)が始まれば、よりよくものごとが見えるようになる可能性がある。
精神分析とシステム論はともに、これまで個人、家族、地域について考えてきた。だから、現代のこの時点において、子育てという営みについて何事かを言うべきであろうと思う。各シンポジストは、それぞれ個人、家族、地域をその臨床対象としている。社会全体の中でそれぞれが、他の臨床家との協働を模索してきた。シンポジウムでは、子育てという営みについて、個人、家族、地域がどう協働していくのか、精神分析の立場とシステム論の立場から考えていく。この対話の先には、どのような景色が見えてくるのだろうか。我々は、それを確かめたいのである。
※プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。