理事長あいさつ

理事長挨拶

 一般社団法人 日本心理臨床学会
理事長 藤原 勝紀

私たちの学会は、いまから40年前の昭和57年、1982年早春に発足しました。2022年3月22日が創立40周年記念日です。

歴代の会員は、心理臨床に固有の専門性を踏まえた諸規程及び倫理規程・倫理綱領・倫理基準を遵守する責任と義務を負う心理臨床家であり学術研究者として、つねに《人・心・命》に直接の影響を及ぼす営みであることを基本認識し、心理臨床の現場と実際を生きる人々と会員だれ一人取り残すことなく初志を継承し錬磨を続けることに励んできました。

いま会員は、社会からの関心と要請に深く注力し、即座には評価をされにくい心理臨床の地道な実践と研究を積み重ねてきた真撃な歩みに誇りと認識を深めながら、関係団体各位への感謝と温かなエールを励みに、新たな未来創造へと共に精進して参ります。

想えば、この学会は創設以来、新しい動脈として、わが国の心理学界と心の健康をめぐる心理臨床の歴史に画期的な影響を与えてきました。1988年には心の専門家・臨床心理士を誕生させ、1995年の阪神・淡路大震災を経て、2009年には社団法人化により社会的認知を確固とし、2011年は心に深く刻む東日本大震災。その翌年の創立30周年から10年間の最大の特記事項が、心理職の国家資格・公認心理師法(2015年9月16日公布)の成立であり、創立以来の学会史上で最大級の新しい職能時代を斯界に創出したことです。

いま40周年の特記事項は、2020年2月以来の新型コロナウイルス(COVID-19)が、いまなお生々しい人間環境にあって、《人・心・命》の根本に問いかけ続ける世界的・歴史的事態そのものです。現会員は、2年連続ウェブ開催の年次大会を経験し、初めて大会参加者が一万人を越え、40周年記念誌が冊子版と電子書籍版に新装なるなど、サイバー空間とデジタル・コミュニケーション時代における生身の心理臨床の重要性と創意工夫による創新の息吹きや芽生えこそを特記できる当事者の位置にあると思います。

創立から40年の現在、平均寿命は当時から大幅に伸長した人生100年時代です。いま学会と会員は、「私たち・心理臨床」を合い言葉に学会設立を担った当時の先達が40代から50代だったことを想い、心機一転、連携し協働する相手に思いを致す心の文化を初心に、相互理解を深め、ともに世代多様性と専門領分の持続可能性に臨む所存です。

日本心理臨床学会40周年記念誌-その歴史と記録-より抜粋転載

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