奨励賞受賞者講演

2016年9月5日に行われました第35回秋季大会「奨励賞受賞者講演」の記録データを掲載しております。
※「概要・出演者等」、「内容」は、プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。

記録データ

概要・出演者等

『臨床心理学的視点による全人的復職支援』
9月5日(月)16:40~17:40

司 会 者 :新田 泰生(神奈川大学大学院)
講 演 者 :中村 美奈子(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 千葉障害者職業センター)

内容

 この度は,日本心理臨床学会奨励賞を授与いただき,心から感謝申し上げます。これまでさまざまな生き方を共に模索させてくださったクライエントの皆様の力強さ,新しい復職支援を共に実践する同僚やご指導くださった先生方の支えの大きさを,あらためて実感しております。
復職支援は,精神疾患により休職している労働者への新たなサービスとして,10年余りの間に大きな成果を上げてきました。現在では多様な働き方や生き方へのニーズが高まるなか,休職者が休職という人生の転換点を主体的に乗り越えて,自分らしい働き方や,働くことを通した自己実現を目指すための復職支援と,その支援技法が求められています。
具体的には,疾病を含む生活のセルフマネジメントへの支援や,休職者の個別性に応じた臨床心理学的支援は不可欠です。また,働くことはひとりではできません。休職者に求められる業務遂行能力への支援とともに,休職者と復職先企業との関係性や,社会的存在として働くことの意味を考察することで,労働をとおした主体的生活の回復を目指します。つまり Bio-Psycho-Social-Vocationalの4つの側面から休職者をとらえる,全人的復職支援が重要だと考えます。
復職支援の新たな展開について,産業臨床に携わる,あるいは興味をおもちの皆様とともに理解を深められれば幸いです。

略歴

1996年早稲田大学第一文学部文学科文芸専修 卒業
番組制作,商社や外資系医療器具メーカーでのマーケティング業務などに従事
2007年淑徳大学大学院総合福祉研究科心理学専攻 修士課程修了 修士(心理学)
外資系EAP,外資系銀行でのマーケティング業務に従事
2009年地方自治体での復職支援に従事
2011年千葉障害者職業センターで復職支援に従事
2017年淑徳大学大学院総合福祉研究課社会福祉学専攻博士後期課程修了 博士(社会福祉学)
(2017年3月現在)

主な論文

「うつ病と診断された長期休職者に対する復職支援」 心理臨床学研究 第30巻第2号(2012)
「職業的アイデンティティ再構築を支援目標とした復職支援」 心理臨床学研究 第31巻第5号(2013)
「就労能力向上を目指す若年長期休職者への復職支援」 心理臨床学研究 第32巻第6号(2015)
「働くことをとおした自己実現を目指す復職支援」 淑徳心理臨床研究 第13巻(2016)

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