災害と子どもの心のケア


 

命をおびやかす怖かった体験からの回復には、「安心・絆・表現・チャレンジ」の体験が必要です。大規模災害ですから、直後は、生活支援と体のケアを中心に、「安心と絆」の体験を深めましょう。

ライフラインが復旧し、学校が再開された後に1〜2週間(災害からは1ヶ月ぐらい)ぐらいから、表現とチャレンジ体験を少しずつ進めていきましょう。津波被害が甚大ですから、「海を見ることができない」「海に行けない」という回避反応が起こるようになりますので、その時期にはチャレンジが課題になります。

家族を失った子どもさん、家族の安否がわからない子どもさんには、「安心・絆」の体験から、心の中で、今はいない大切な人と会話ができるようになることが遠い目標です。

※災害からの時期について、東北地方沿岸部は極めて甚大な被害状況ですので、「1〜2週間」が「1ヶ月〜2ヶ月」と変えざる得ない状況です。詳しくは、「教師・心理職等(対人援助職)のみなさんへ」をお読み下さい(2011.3.26)。

災害直後から1〜2週間

 避難所で生活している子どもたちには、安全感・安心感が回復できるようなかかわりをしましょう。

災害から2週間〜1ヶ月

 ライフラインがある程度復旧してきたら、ボランティアとチームを組み、“子ども遊び隊”など避難所巡回活動を始めましょう。
「子ども遊び隊」についての詳細はこちら
 「子どもと遊びQ&A」リーフレットはこちらから

災害から1ヶ月〜2ヶ月

 学校での子どもの心のケア活動を開始します。

災害から2ヶ月〜半年

 心のケアの授業(仲間づくり、ストレスマネジメント、3つの言い方、上手な話の聴き方など)を始めましょう。

災害から1年

 1年目が近づくにつれ、つらい気持ちになります。つらい体験に向き合う機会です。追悼の会を大切にしましょう。

 

◎阪神淡路大震災で姉を亡くした方からのメッセージ
  被災した子どもと心理職、両方を経験した方からのメッセージです。
 

留意事項

※報道関係者は、被災した子どもたちに被災体験を語らせたり、絵に描かせたりしないでください。被災体験は、安全・安心・信頼の関係性のなかで表現されてこそ、回復への力になります。逆に、安心・信頼のないなか表現を強いることは二次被害を与えます。

※被災した子どもの利益にならない研究のためのアンケート調査は絶対に行わないでください。阪神淡路大震災のときも中国四川大震災のときも、調査公害が多発しました。この災害では決してそのような二次被害が起こらないようにしてください。

※心やストレスのアンケートを実施する時期は、ある程度ライフラインが復旧し、日常が回復してからが適切です。また、アンケートを実施するときは、さまざまな心身反応が起こるのが自然で、それぞれに対処する方法があるという「心理教育」のメッセージを送ってください。また、アンケート実施の前後に、背伸びや漸進性弛緩法や呼吸法や動作法などの「ストレスマネジメント体験」を提供してください。そして、担任が全員に5分でいいから、「個別相談」をし、かつ、ハイリスクの子どもさんには、保護者の了承をえて、スクールカウンセラーの「個別相談」が実施できるようにしてください。

※被災地外から、心のケア活動をするために、個人的に、被災地に行かないでください。組織や団体に所属して受け入れ組織・団体からの要請で活動してください。

文責:冨永良喜

作成:2011年3月15日 最終更新:2011年3月28日


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