日本心理臨床学会第33回秋季大会 学会総合検討委員会 自殺対策専門部会企画シンポジウム

2014年8月24日に行われました第33回秋季大会「学会総合検討委員会 自殺対策専門部会企画シンポジウム」の記録データを掲載しております。


※「概要・出演者等」、「内容」は、プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。

記録データ

概要・出演者等

学会総合検討委員会 自殺対策専門部会企画シンポジウム

 『生きづらさを抱える若者が生きていくための支援を考える−「子ども」からの出口と社会への入り口−』
 8月24日(日)16:00〜18:00 501会議室

 
 シンポジスト: 内海 新祐(児童養護施設川和児童ホーム)
 

高野 明(東京大学)

  勝又 陽太郎(新潟県立大学/学会総合検討委員会自殺対策専門部会)
 指定討論者:

津川 律子(日本大学)

 司会者:

高野 久美子(創価大学/学会総合検討委員会自殺対策専門部会)

 

末木 新(和光大学/同上)

内容

2012年に見直しが行われた自殺総合対策大綱では、近年の若年世代における自殺死亡率の上昇を受け、若年層の自殺予防に重点が置かれることとなった。本学会においても、昨年は学会総合検討委員会で若年層の自殺予防に焦点をあてたシンポジウムを開催したが、今年はさらにこの問題について掘り下げるシンポジウムを企画することとした。
ところで、「若者の自殺」と聞いた時、いったいどのような自殺を思い浮かべるだろうか。ある人は、「子どもの自殺」を想像するかもしれないし、ある人は「精神障害を抱えた若年成人」を想像するかもしれない。「就活自殺」や「新型うつを抱えた人の自殺」をイメージする人もいるかもしれない。そのどれもが存在し、そのどれもがすべてではないのが「若者の自殺」なのだろう。
自殺予防に効果的な介入の一つは「他者とのつながり」を作ることであるが、上記のような多様な背景を抱える若者に対しても、我々が共有しきれていない多様な「つながり方」や「支え方」の工夫があり得るはずだ。本シンポジウムは、現場の経験を持ち寄って、フロア全体で多様な若者の背景を想像しつつ、つながり方や支え方に関する実践データを蓄積する「共同研究の場」として位置づけられるかもしれない。
本シンポジウムでは、もう一つの視点として「子ども」から大人への移行を取り上げることとした。この時期は、特に生きづらさを抱えた若者が社会とのつながりを模索する中で困難を顕在化させやすいポイントであり、社会に送り出す立場、社会で受け入れる立場、側面的に支える立場と多領域にわたって活動している本学会員が、それぞれの立場から長期的な視座にたって若者の自殺予防を考えていくことが本シンポジウムの目的である。
具体的な内容を以下で説明する。まず、自殺対策専門部会委員である勝又陽太郎委員から、本シンポジウムの導入として行政や最新の研究動向を含めて、現在の若年者における自殺予防対策の動きについて話題提供を行う。次に、内海新祐先生と高野明先生には、それぞれの職域(児童養護施、大学)における「子ども」から大人(社会人)への移行の難しさと、その問題への支援のあり方についてお話をいただく。生きづらさを抱えた若者が10年後・20年後にも生きていけるような支援を各現場の心理職がどのように構築しながら若者の自殺予防に寄与していけるのかについてのご提言をいただきたいと考えている。
なお、本シンポジウムは、自殺予防週間9月10日〜16日における本学会の協賛企画とする予定である。


 

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